河童の証文松(かっぱのしょうもんまつ)
伝説の地(共興地区吉崎)
昔、吉崎の新堀淵(にいぼりぶち)に悪戯(いたずら)な河童(かっぱ)が住んでいた。その淵のそばを通る人馬を襲っては傷つけたり、脅したり、水の中へ引っぱり込んだりして、悪戯ばかりしていた。
このことを聞き付けた宝珠院(ほうじゅいん)のお坊さんは、河童をこらしめようと摑(つか)まえた。
「これ河童、お前はおもしろ半分に悪戯をしているようだが、人や馬が大変迷惑しておる。寺の山門に縛りつけておくから、よおく反省しなさい」
河童も、始めはすぐに許してもらえるだろうと甘い考えでいたが、幾日たってもお坊さんは縄をといてくれない。悪戯者の河童もさすがに心細くなってきた。
「おらが悪かったよおー。もう絶対に悪戯はしねえよおー」
河童は、目に涙をいっぱい溜(た)めてあやまった。お坊さんのきついおしかりに、河童は、今までの悪事を悔(く)い改(あらた)め、これからは人馬に危害を加えたり、悪戯をしないと約束した。
そして、その証拠にお坊さんの言い付けに従って証文を書き、一本の松を植えて誓ったそうだ。それが今に伝えられて、“河童の証文松”と呼ばれている。
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