ゆるぎの松(まつ)
伝説の地(飯高地区安久山)
飯高地区安久山(あぐやま)に円静寺(えんじょうじ)という寺がある。この寺の門前の小高い丘に、見事な枝ぶりの古松があり、「ゆるぎ松」と言われている。
――ある時、村人が相談して、この古松を伐(き)ろうということになった。
のこぎりで根元をひき始めると、不思議なことに真っ赤な血がどっと吹き出た。
驚いた村人は、急いで伐るのを止め、円静寺で供養(くよう)をして塔婆(とうば)を立てた。
それからというものは、古松の枝が風のないのにゆれるし、また、そのありさまは、そばを通る村人にほほえみかけているようであった。
こうしたことから、やがて、「ゆるぎ松」、「わらい松」などと言われるようになった。
『円静寺過去帳』に、「当寺の門前の松は昔より震松(ゆるぎまつ)または児松(こまつ)という。往古(おうこ) 人児(いんこ)の基松(もとまつ)と申伝わるなり。しかるに、元文三年(1738)戌午 午四月九日、朝六ツ時(午前六時)より九ツ時(午前十二時)過(すぐる)まで赤き色なる水出(みずいで)ること地に流る。村中おどろき怪しむ。これにて塔婆を起立し無事を祈念す。(中略)廿一世日了代(下略)」とある。 【本文は漢文につき意訳】
『飯高村誌』にも、「触れれば幹、枝葉(しよう)、みな揺ぐ。そよそよ風吹いて松葉揺ぐ、夕月松枝に懸(かか)りてきらきら光る美しゆうべからず」と書かれている。
二代目とも三代目ともいわれた松も、昭和五十年(1975)十月、松喰い虫の被害にあい枯れてしまった。 道路工事等のため多少移転したが、松のあった所近くに、現在も芭蕉の句碑が残されている。
此の道に 出て涼しさよ 松の月
という芭蕉翁(ばしょうおう)の句碑がある。
ようかいちばの歴史と民俗、飯高村誌
◇ゆるぎの松の根元にあった芭蕉の句碑(平成18年10月撮影)
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