火伏開運大黒天(ひぶせかいうんだいこくてん)
伝説の地(中央地区万町)
昔、福善寺の庫裡(くり)から、本堂へ通じる回廊(かいろう)の中央に、左甚五郎の作と伝えられる大黒天が祀(まつ)られていた。
明治元年、脱走塚事件の時、朝比奈弥太郎(あさひなやたろう)等(諸生派)は、福善寺に立籠(たてこも)って抵抗した。これに対して、尼子仙太郎(あまこせんたろう)等追撃隊(天狗派)は、一挙に福善寺を襲撃して打ち破ったのである。その時、朝比奈隊の二名が逃げ遅れて寺の庫裡に逃げ込んだ。追手は、隠れた兵を捕まえるために、火を放ち、庫裡を焼いてしまったのである。
庫裡の火は、回廊を伝わり、本堂へ燃え移りそうになった。本堂の焼けるのは、もう時間の問題だと本尊を移して諦めていた。
すると、不思議なことに、火は回廊の中央でぴたりと消えたのである。調べてみると、大黒天を祀ったところで消えていた。
この不思議な出来事があってから、村の人々は、この大黒天を
「火伏開運大黒天(ひぶせかいうんだいこくてん)」
と呼び、火事を防ぐものと信じるようになった。
今は、寺の境内の小さな祠(ほこら)に祀られている。
そうさの伝説とむかし話
◇左甚五郎の作と伝えられる大黒天
(平成18年10月撮影)
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