昆布子のお女郎(こぶこのおじょろう)
伝説の地(飯高地区昆布古)
昔々、昆布子(こぶこ)の山林に、年老いた狐(きつね)が住んでいた。いたずら好きな狐は、時折山林に盛り場をつくり、自分は女郎の姿になって若者の相手をしていた。若者たちは、喜んで昆布子へ遊びに行ったそうだ。
酒を飲んだり、女と踊ったり、歌を唄っていると、とたんに盛り場が消えて、若者たちは松林の中で踊っている始末。そんなふうにいたずらばかりしていた。
村人たちは、この古狐(ふるぎつね)を昆布子のお女郎といったそうだ。
さて、いたずらな古狐の話を聞いた侠客肌(きょうきゃくはだ)で力の強い金五郎という男が、
「狐や狸が、人間を迷わすとは、不届(ふとど)き千万(せんばん)。おれが退治してやる」
と息巻(いきま)いた。
ある日金五郎は、唐からしを狐の住んでいる穴に詰め込んでいぶした。狐には、からい煙が一番毒なのだ。狐の子供は、みんな死んでしまった。しかし、昆布子のお女郎だけは、辛うじて一命を取り留めた。
数か月が過ぎたある日、金五郎は、仕事で昆布子の山林を通りかかった。
松林の中を歩いていると、どこからか佐原囃子(はやし)の笛や太鼓の音色が、にぎやかに聞こえてきた。
金五郎は、変だな、と思いながらも、だんだんと祇園祭の賑わいの中にいるような気分になってきた。
「ピー、ピー、ドン、ドン、ピーヒャララ」
大勢の若者が、囃(はや)したてて、山車(だし)を引っぱりながらこちらへやってくる。金五郎はすっかり浮かれて若者の中に入り、踊り出していた。しばらくすると、きれいな女が手まねで呼んでいる。
金五郎は、すっかりうれしくなって、その女の後をついて行くと、女は大きな料理屋へ入って行った。
金五郎も、引きずり込まれるように料理屋へ踊り込んだ。
料理屋の中には、きれいな女たちが待ちうけていた。
金五郎は、大いに飲んで踊り続けた。
そのうちに、女たちが言うことを聞かないので怒り出し、なぐる、蹴るの大あばれを始めた。一晩中あばれた金五郎は、疲れ果てて、その場に倒れてしまった。
翌日、金五郎が気がつくと、血まみれになって松林の中に倒れていた。辺りは、血が飛び散り、黒松が赤松のように血で染まり、刈り取られた篠竹(しのだけ)が、金五郎の体中にささっていた。子供を殺された狐の復しゅうだったのだ。
金五郎は、村人に助けられて何とか命だけは取り留めたそうだ。
原話 八日市場市の沿革と人物
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