愛宕神社の天馬(あたごじんじゃのてんま)
伝説の地(中央地区富谷)
昔々のある時、福岡村にものすごい火事があった。風の強いことと、火元が風上であったために家々をなめるように広がり、人々はただただ、逃げまどうだけであった。
その時である。愛宕神社の扉が開かれて、中から駒に跨(また)がった白髪白衣(はくはつはくい)の神様が現われて石段を駆けおりた。
駒は、天馬と言われる翼を持った馬だった。
神様は、上から十二段目の石段で止まり、燃え広がる福岡村を見渡すと、手に持っていた白い杖を振り上げ、何か呪文を唱えた。
すると天馬は、これに合わせるように、ひと声、
「ヒヒヒヒーン」
と嘶(いなな)いた。
その声が、神社の森から風に乗って天に消えたその時、空は一転して曇り、カミナリがとどろいて雨が降り出した。
とどまるところを知らなかった火事は、この雨で忽(たちま)ちに消されてしまった。神様のおかげで福岡村の半分は、火事からのがれることが出来たのである。
愛宕神社の石段に今でも残るひづめの跡は、その時の天馬の足跡と伝えられている。
原話 そうさの伝説とむかし話
◇富谷にある愛宕神社(平成18年9月撮影)
◇愛宕神社御神像乗馬の『ひずめ』の跡
(平成7年7月/石段改修により移動し安置)
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