瑞董(ずいどう)
伝説の地(飯高地区飯高)
昔、飯高村仲台にあった飯高檀林(だんりん)の学寮龍眠庵(りゅうみんあん)に、瑞董(ずいどう)という学僧が住んでいた。
毎晩、夜更けになると、どこからともなく
「ズイドウ、ズイドウ」
と呼ぶ声が聞こえてきた。
瑞董が驚いて起きてみると、誰も見あたらないし、何も変わったことはない。次の晩も、
「ズイドウ、ズイドウ」
と呼ぶ声が聞こえてきた。
堪(たま)らなくなった瑞董は、檀林の学僧たちにこの話をした。
「それは不思議なことだ。今夜は、みんなで見張って、何者かつきとめよう」
十人ほどの学僧は、龍眠庵の庭のところどころに身を隠し、息を殺して待ちかまえていた。
その夜もだんだんと更け、冷たい夜風が吹き始めると、
「ズイドウ、ズイドウ」
と呼ぶ声が聞こえ始めた。その方へ近づいてみると、古狸(ふるだぬき)が、
「ズードウ、ズードウ」
と音をたてながら、くぐり戸の節穴(ふしあな)へ尻尾(しっぽ)を入れたり出したりしていた。
「さあ、捕まえろ」
と学僧たちは、四方から古狸を取り囲んだが、おしくも取り逃がしてしまった。
その後、明治時代になってから、龍眠庵は取り壊されて、新しい小学校が建てられた。
ここに、鎌形さんという小使いさんが泊るようになると、居なくなったはずの古狸が、今度は
「カマガタ、カマガタ」
と毎日、呼び起こしたそうだ。
原話 飯高村誌
◇写真奥/龍眠庵校舎跡(平成18年10月撮影)
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