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大根畑(だいこんばたけ)

伝説の地(野田地区野手) 

 野手に“大根畑”(だいこんばたけ)というおもしろい地名が残っている。

遠い昔のこと、一人の旅の僧がこの地にやってきた。

 雨の降り続く日で、しかも日暮れておそいとき。 

 やむなく僧は一軒の民家を見つけて

 「旅の僧だが、ひと晩とめてもらえまいか?」

とたのんだ。

 訪ねられた家では、突然の来客にとまどい戸を開けてみると、そこには汚い身なりの僧が立っている。それに食べ物もなく、ふとんもない。めんどうなので

 「ちょうど、とりこんでいる最中なので、お隣へ・・・」

とていさいよくことわられ、次の家でもまたことわられるといったありさまだった。

 とうとう村のはずれの家まできて

 『旅の僧だが―』

と一夜の宿をたのむと、ひとり暮らしの老婆が出てきて、

 『どうぞ、どうぞ、でもふとんもなし、口に入るものといえば雑炊ぐらいのものですが・・・』

といって、こころよく迎え入れてくれた。

 いろりをたいて、からだがあたたまったころ、雑炊が出された。雑炊は、米が少々と麦そして人参が少し入っているだけの粗末なものだった。それでも空腹な旅の僧にとっては何よりのごちそうだった。

 「おばあさん、この雑炊には野菜がほとんど入っていないが・・・」

と旅の僧がいうと

 「はい、この地には山人参が少しとれる程度で、野菜はありません」

と答えた。旅の僧は大きくうなずいて聞いていた。

 翌朝は、雲ひとつないさわやかな天気。僧は

 「おばあさん、突然おじゃましてたいへんお世話になりました。お礼にこの種を差し上げましょう。大事に育てて、村の人たちにもわけあげて下さい」

といって一つの袋を渡して去って行った。これが大根の種であった。

 老婆の育てた大根は、のちに村人に種として広くわけられ、この地は太く大きな大根の畑が、あちこちに見られるようになった。 

 そしてここを、その名の通り“大根畑”〃と呼ぶようになったのである。また、大根の種を伝えた旅の僧は、なんと弘法大師であったということだ。

 

野栄町史付録

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