産業・事業者

雇用を活かした農業経営~初めて人を雇う農業者の皆さんへ~

雇用は農業経営発展への第一歩

農業における雇用は、単に労働力を補うだけではなく、経営の可能性を広げる重要な取り組みです。人材を受け入れることで、作業の分担や効率化が進み、経営規模の拡大や新たな品目への挑戦、技術の継承など、農業経営の発展につながります。

また、雇用を通じて労務管理や経営管理の仕組みを整えることは、将来的な法人化や、持続可能な農業経営へのステップにもなります。

初めて人を雇うことには不安も伴いますが、働く人が安心して活躍できる環境を整えることは、農業経営を次の段階へ進めるための大切な取り組みです。

雇用するときに準備すること

  • 労働条件を決める
    仕事内容や勤務日数、賃金、雇用期間など、働く条件を事前に整理します。
  • 労働条件を労働者に明示し、雇用契約を結ぶ
    お互いが安心して働けるよう、仕事内容や賃金などの労働条件を書面で確認しましょう。
  • 作業内容や安全上の注意点を説明する
    いきなり作業を任せるのではなく、手順や作業安全を説明し、安全に働ける環境を整えましょう。
  • 雇用に関する制度や手続きを確認する
    労働基準法、労災保険、雇用保険など、雇用に必要な制度や手続きを確認しましょう。

もっと詳しく

  • 労働者を1人でも雇用する場合、経営規模や、法人か個人事業主であるかにかかわらず、労働基準法が適用されます。
    ※農業については、労働時間、休憩、休日などに関する規定の適用除外があります。
  • 正社員のみならず、パートタイム労働者やアルバイトなどの雇用形態を問わず適用となります。

労働条件を明確にしましょう

雇用する人とのトラブルを防ぎ、安心して働いてもらうためには、仕事内容、賃金、勤務時間、休日などの労働条件をあらかじめ明確にすることが大切です。

また、働きやすい職場づくりは、人材の定着にもつながります。経営に合った労働条件を設定しましょう。

もっと詳しく

  • 労働者を雇用する場合の賃金や労働時間などの重要な労働条件について、労働基準法は、原則として書面による明示を義務付けています。
    ※原則は書面明示ですが、労働者が希望し、出力(印刷)して書面が作成可能な形式であれば、ファックスやメール、SMSでの明示が可能です。
  • 労働条件の明示は、労働条件通知書の交付によるほか、雇用契約書の作成によることも可能です。
    労働条件通知書や雇用契約書に決まった様式はありませんが、参考として農業者のための雇用受入れガイドブック(千葉県ホームページ)労務管理のススメの付録編(農林水産省ホームページ)をご覧ください。
  • 明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除することができます。
    トラブルを防ぐためにも、労働条件を明確に決めておくことが大切です。
  • 農業においては、一部の労働条件については適用除外ですが、労働条件の設定と明示は必要です。
必ず明示しなければならない事項(一例)
  1. 労働契約の期間
  2. 有期雇用期間の場合の更新基準
  3. 就業の場所・仕事内容
  4. 始業および終業の時刻、労働時間、休憩時間、休日、休暇
  5. 賃金
  6. 退職(解雇を含む)に関する事項
農業における労働時間などの特例(適用除外)

農業では、天候や作物の生育状況に応じた作業が必要となることから、労働基準法の一部について特例が設けられています。
例として、

  • 労働時間
  • 休憩
  • 休日
  • 割増賃金(深夜割増賃金を除く)

などの規定は適用除外となります。その一方で、

  • 最低賃金
  • 年次有給休暇
  • 深夜割増賃金
  • 労働条件の明示
  • 解雇などのルール

などは適用されます。

また、基準が適用されないからと言って、長時間働かせてもよいか、休日・休暇を設けなくてよいということではありません。

働きやすい職場環境を整えることは、人材確保や定着のためにも重要です。

働く人を探すため、効果的な募集方法を考えましょう

人材を確保するためには、仕事内容や雇用条件を明確にしたうえで、自分の経営に合った募集方法を選ぶことが大切です。

農業では、地域内の人材だけでなく、農業に関心を持つ移住希望者や新規就農希望者など、幅広い人材が働き手となる可能性があります。

募集の際には、仕事内容、働く時間、職場の雰囲気、農業のやりがいなどを具体的に伝えることで、応募者とのミスマッチを防ぐことにつながります。

募集前に労働条件を整理しましょう

募集する前に、労働条件を改めて整理しましょう。
「農業経験者を求める」のか「未経験者を育成する」のかによって、募集方法や伝え方が変わります。

  • 仕事内容(栽培管理、収穫、出荷作業など)
  • 雇用期間(通年、季節雇用など)
  • 勤務日数・勤務時間
  • 賃金
  • 必要な経験や資格
  • 住居や通勤に関する条件 など

募集方法の例

  • ハローワーク
    公的な求人機関です。無料で幅広い求職者に情報を届けることができます。
  • 求人サイト・求人情報誌
    農業分野に関心のある人や、幅広い年齢層へ情報発信できます。
  • 知人や地域の関係機関・農業団体を通じた紹介
    地域内での人材確保につながる場合があります。
  • 農業体験やインターンシップ
    働く前に農業や職場を知ってもらう機会となり、採用後の定着につながります。

求人情報では「農業の魅力」も伝えましょう

農業のやりがいやビジョンなどを伝えることが、応募者の関心につながります。

  • どのような作物を育てているか
  • どんな仕事を担当するのか
  • どんな人と働くのか
  • 技術を身につけられるか
  • 将来的な独立やキャリアアップにつながるか

雇用前に働き方を確認する機会を設けましょう

農業の仕事は、一般的な職場とは作業内容や働く環境が異なる場合があります。雇用後のミスマッチを防ぐため、採用前の面接や見学、農作業体験などを通じて、仕事内容や働き方についてお互いに確認することが大切です。

また、採用後に試用期間を設けることで、労働者の適性や職場との相性を確認し、安心して働き続けられる環境づくりにつながります。

もっと詳しく

  • 面接では、仕事内容、勤務時間、給与、休日、農繁期の働き方などについて具体的に説明しましょう。
  • 農業経験のない人を雇用する場合は、短期間の農作業体験や見学の機会を設けることで、仕事への理解を深めてもらうことができます。
  • 試用期間を設ける場合は、期間や労働条件をあらかじめ明確にし、雇用契約書や労働条件通知書に記載しましょう。
  • 試用期間中であっても労働契約は成立しているため、賃金の支払いや労働関係法令の適用があります。
  • 「試用期間だから自由に辞めさせることができる」というものではありません。本採用を行わない場合には、通常の解雇と同様に合理的な理由などが必要です。
  • 農業の魅力や経営者として大切にしていることを伝えることも、人材の確保・定着につながります。

農作業の安全管理を行いましょう

農業では、トラクターや収穫機などの機械・設備や、農薬の使用、高温環境下での作業など、けがや病気に注意が必要な作業があります。

雇用した人が安全に働けるよう、作業方法や注意点、危険な場所などを事前に説明し、安全な作業環境を整えることが大切です。特に、初めて農作業を行う人には、経験がある作業であっても、基本的な手順や安全確認のポイントを丁寧に伝えましょう。

安全管理は、従業員を守るだけでなく、経営を継続するためにも重要な取り組みです。

もっと詳しく

  • 労働者を1人でも雇用する場合、経営規模や法人・個人事業主の別にかかわらず、労働安全衛生法などの労働安全に関するルールの対象となります。
  • 雇用主には、労働者の安全と健康を守るため、作業環境の整備や安全に関する教育などに取り組むことが求められます。
  • 農業機械や農薬の使用による事故や、高温環境下での熱中症などが発生する可能性があります。作業前に危険箇所や注意事項を確認し、事故を防ぐ取り組みを行いましょう。

労働保険(労災保険・雇用保険)

「労災保険」は、仕事中や通勤中のけがや病気などに対して必要な保険給付を行う公的制度です。
業務中のけがなどに対して補償・給付を受けることができます。

「雇用保険」は、労働者が離職した場合の生活支援や再就職支援などを行う公的制度です。
例として、労働者が離職した際に手当を受けることができます。

労災保険と雇用保険を合わせて「労働保険」と呼びます。

農業の個人事業主の場合、従業員を常時5人以上雇用する場合、労働保険の加入手続きが必要です。

  • 法人の場合は、原則として一人でも雇用していれば加入が必要です。
    ※社会保険とは異なり、労働保険の場合、法人の代表者や役員は加入できません。
  • 事業主自らが労災保険の特別加入をしている場合、従業員も労災保険に加入する必要があります。

労災保険料は、事業主が負担します。また、雇用保険料は、事業主と労働者がそれぞれ負担します。

加入するメリット

他産業と同等の福利厚生を提供でき、人材の確保や定着につながることが期待されます。

もっと詳しく

  • 令和8年現在、農業では、常時5人未満の労働者を使用する個人事業主は、労働保険は任意加入となっています。
    労災保険への加入が義務付けられていない場合でも、業務災害が発生した場合には、事業主が治療費などを補償する責任を負う場合があります。このため、国では労災保険への加入を推奨しています。
  • なお、令和8年の労災保険法が改正により、労災保険への加入が任意であった農業の小規模個人事業主も、令和13年度(2031年度)までに労災保険への加入が義務付けられることとなりました。詳細は、農業労災・安全対策ポータルサイト(一般社団法人 全国農業会議所ホームページ)をご覧ください。
  • 労災保険料は事業主が負担し、雇用保険料は事業主と労働者がそれぞれ負担します。
  • 労働保険とは別に、健康保険や厚生年金保険などの「社会保険」があります。加入要件は労働保険とは異なります。
  • 労働保険の適用の有無は、事業の内容や雇用状況によって異なります。
    不明な場合は、事業所の所在地を管轄する労働基準監督署(匝瑳市の場合、銚子労働基準監督署)や公共職業安定所(匝瑳市の場合、ハローワーク銚子)にご相談ください。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

「健康保険」は、労働者やその家族が業務外で病気やケガをした場合などに、給付を行う公的な医療保険制度です。
保険証が交付され、医療費の自己負担割合が3割となります。

「厚生年金保険」は、被用者向けの公的年金制度です。
厚生年金に加入すると、国民年金(基礎年金)に加えて厚生年金を受け取ることができます。

健康保険と年金保険を合わせて「社会保険」と呼びます。

農業の個人事業主の場合は、従業員数にかかわらず、健康保険や厚生年金の加入は任意です。

  • 法人の場合は、原則として一人でも雇用していれば加入が必要です。
    ※労働保険とは異なり、社会保険の場合、法人の代表者や役員も強制加入が必要です。そのため、役員のみで従業員がいない法人(いわゆる一人会社)でも、社会保険が適用されます。

健康保険・厚生年金の保険料は、事業主と労働者がそれぞれ負担します。

なお、社会保険に加入していない場合、労働者は、公的医療保険は国民健康保険に、公的年金制度は国民年金(第1号被保険者)に加入する必要があります。国民健康保険・国民年金のどちらも、保険料(税)は労働者が個人負担します。

加入するメリット

他産業と同等の福利厚生を提供でき、人材の確保や定着につながることが期待されます。

もっと詳しく

  • 社会保険とは別に、労災保険や雇用保険などの「労働保険」があります。加入要件は社会保険とは異なります。
  • 社会保険の適用の有無は、事業の内容や雇用状況によって異なります。
    不明な場合は、事業所の所在地を管轄する年金事務所(匝瑳市の場合、佐原年金事務所)にご相談ください。 

税金(所得税・市県民税)

「所得税」は、個人の所得に対してかかる税金(国税)です。人を雇用して給与を支払う場合、事業主は源泉徴収(天引き)を行い、税務署に納付する必要があります。

「市県民税(住民税)」も、個人の所得に対してかかる税金(地方税:市区町村税)です。人を雇用して給与を支払う場合、原則として事業主は特別徴収(天引き)を行い、市区町村に納付する必要があります。

詳細は個人住民税の特別徴収制度をご覧ください。

もっと詳しく

  • 不明な場合は、所得税については事業所の所在地を管轄する税務署(匝瑳市の場合、銚子税務署)に、市県民税については匝瑳市税務課(市役所1階)にご相談ください。

労働力確保に取り組む経営体への支援(県補助金)

県では、就業環境を改善するための施設整備をする場合や、雇用条件の改善に取り組んだ上で新たな雇用をする場合に、補助金を交付しています。

詳細は農業労働力確保の取組(千葉県ホームページ)をご覧ください。

農業雇用条件改善推進事業補助金

農業の雇用労働力の安定的確保と経営規模の拡大を促進するため、農業者が就業規則や労働保険といった雇用条件等の整備・改善に取り組み、新たな雇用をする農業者を支援します。

詳細は農業雇用条件改善推進事業について(千葉県ホームページ)をご覧ください。

事業実施主体

認定農業者など(農業経営基盤強化促進法に基づく農業経営改善計画の認定を受けている農業者)

補助金額

1事業実施主体当たり20万円(定額)

事業内容

事業実施年度に雇用を増加させ、次の事業1、または、事業2に取り組む事業実施主体を支援します。
※事業1および事業2は、それぞれ、事業実施主体当たり1回限りの実施とし、同一年度に同時に実施することはできません。

事業1:雇用条件の整備

次の1および2のいずれか一方もしくは両方の雇用条件が整備されていない事業実施主体が、1および2の両方を整備する取り組みを支援します。

  1. 就業規則
  2. 労働保険(法人の場合は更に社会保険)
事業2:雇用条件などの改善

事業1の雇用条件(就業規則の整備・労働保険などの加入)が既に整備されている事業実施主体が、専門家の助言を受けて行う次の1または2のいずれか一方または両方を改善する取り組みを支援します。ただし、対象経費(税抜き)の合計額が20万円以上となる場合に限ります。

  1. 就業規則
  2. 作業環境

参考となる資料など

厚生労働省など

農林水産省

  • 担い手育成
    法人化や雇用、経営承継などに関するパンフレットが掲載されています。
    雇用についてのパンフレットとして「やさしい労務管理の手引き」「労務管理のススメ」があります。

関連情報

問い合わせ先

このページに関するお問い合わせは農林水産課 農業戦略室です。

本庁3階 〒289-2198 匝瑳市八日市場ハ793番地2

電話番号:0479-73-0089 ファクス番号:0479-72-1117

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