伝説の地(飯高地区安久山) 

 昔、安久山円静寺にたいそう犬好き

さんがいて、一匹の犬を飼っていた。

 この犬は、お坊さんの言いつけををよく守

り、とても、りこうものであった。

 お坊さんも、日頃からたいへんかわいが

り、読経(どきょう)のあと、毎日のよう

や檀家回(だんかまわ)りに連れて

た。

 ある年、お坊さんが病気にかかり、お正

からずっと寝込んでしまった。

 夏のある日、お坊さんは手紙を江戸まで

届けるよう犬に頼んだ。

 りこうな犬は、言いつけどおりに江戸へ出かけていった。

 立派に用事を済ませての帰り道、大雨にあい、びしょぬれになりながら、やっ

との思いでお寺にたどり着いた。

 それから何日もしないうちに、犬は高い熱を出して、食べるものも食べず苦し

そうな毎日を送っていた。

 お坊さんは、寝たきりなので、村人が交代で犬を看病してくれた。

 秋風の吹き始めたある日、村人の手厚い看病の甲斐(かい)もなく、とうとう

死んでしまった。

 お坊さんと村人は、この忠実な犬をねんごろに弔ったそうだ。


原話 八日市場の歴史と民俗 


◇円静寺にある忠犬の墓(平成18年10月撮影)