幸右衛門(こううえもん)のおばあさん
伝説の地(飯高地区仲台)
昔、飯高村の幸右衛門という家のおばあさんは、たいへん胆(きも)の座った
ことで知られていた。
ある時、小高の三十三枚田の上の山へ、栗拾いに出かけた。すると草むらに
一斗入(いっとい)りの菰(こも)ほども太い大蛇が、とぐろを巻いて獲物をねら
っていた。その話をあとから来た人に、驚きもせずに話すので、その人が恐る
恐る行ってみると、もう大蛇は逃げてしまっていた。
飯高寺と飯場台(めしばだい)の間の道は、木がこんもりと生茂って、昼でも
暗いところであった。
ある夜、おばあさんが通りかかる
と、大入道(おおにゅうどう)がヌー
ッ、と顔を出した。見ると一つ目の
ものすごい形相(ぎょうそう)だった
が、おばあさんは少しも驚かず、
「おらあ―、二つ目を持っている
のに、お前は一つでかわいそうに
なあ―」
と言って通り抜けて、城下(ねごや
や)で用事をたしたそうだ。
帰り道、また大入道が現われ、今
度は三つ目でおばあさんを睨(に
ら)みつけていた。
「お前さんは悲しいことだね。人並みはずれて一つ目になったり、三つ目にな
ったりして!」
と言い返して、平気な顔で家に帰り、その話をした。
それを聞いた村人たちは、おばあさんの肝っ玉の大きいのに驚き、後のちま
で語り伝えたそうだ。
原話 飯高村誌
登録日: 2006年10月25日 / 更新日: 2006年10月25日



